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2015年6月11日

スピードの夏がスタート

疾走するアスリートたちがヘイワードフィールドに歓喜の渦を巻き起こし、走り過ぎる。
スピードに溢れる夏がトラックタウンUSAで、大きな盛り上がりとともに始まりました。

プリズ ロック(プリの岩):アメリカ陸上界のアイコン、スティーブ・プリフォンテーン(プリ)が走った最後のレースは1975年5月29日。その40年後、彼を記念して開かれるようになっている大会が今年も始まりました。1975年5月29日、ヘイワードフィールドで5000mを走ったほんの数時間後、プリのオレンジ色の1973MGBコンバーチブルは岩に衝突し、彼は亡くなりました。現在ではその岩を含む壁は「プリズ ロック(プリの岩)」と呼ばれ、世界中のファンがその場を訪れ、追悼の品としてStop Preの文字が入ったTシャツ、メダル、古いオレゴン大学のシングレットなどを残し、現在でもアメリカ長距離ランニングの代表であり続ける選手を回顧しています。

雲ひとつない完璧なオレゴンの春の週末の日差しのもと行われた、40回目のプリ・クラシックには、陸上のレジェンド、スティーブ・プリフォンテーンを忍んで例年のように世界最高の選手たちが集まりました。ユージーンにあるオレゴン大学伝統の、スピードが出ることで知られるヘイワードフィールドにプリの熱意、カリスマ性や魂を感じ、彼の思い出に刺激を受けながら2日間の大会が行われました。毎年のように、緊張感と興奮に溢れる会場で、速い選手がさらなる速さを見せる最高の競技が行われました。モー・ファラーとゲーレン・ラップが金曜日の夜の観客を盛り上げ、土曜日の午後にはアリソン・フェリックスとシェリー=アン・フレーザーが会場を盛り上げました。

金曜日夜のハイライト

「世界の中のレースの中でもこれはお気に入りの大会です。一日中とても楽しかったです。
今日は私の双子の子供たちも一緒で、家族みんなで過ごし楽しかったです。」ゲーレン・ラップ。

夜間照明のもと、ゲーレン・ラップは5000mを13.12.36で走りました。今年最初のレースを、今年の世界最高記録となるエチオピアのヨミフ・ケジェルチャの13.10.54の2秒後に、3位で終えたことを喜んで、「記録と成績には満足しています。」とレース後にラップは語りました。

モー・ファラーは2011年8月28日以来続いている1万mでの無敗記録を守りました。2周目には3人のラビットの先に、そのペースの遅さを示すかのように駆け出して慌てさせました。24周まで混戦が続き、最後の400mに勝負がもつれ込みました。モーは56.4秒という圧倒的な速さと独特のキックで最後の直線を駆け抜け、ケニアのポール・タヌイとジェフリー・カムワラーを振り切りました。「もっと早く走れたかもしれない。それでもタイムにはハッピーだし、調子もよかったし、また走れる。」とレースの後、モーは述べています。オレゴンプロジェクトのファラーとラップのチームメートであるカム・レヴィンズはカナダの10,000m記録を15秒も上回る27.07.51で、4位でゴールしました。

土曜日のスターたち

男子100m
タイソン・ゲイが100mを9.88秒と、今年3番目に速い記録で優勝しました。2009年以来初めて、屋外の世界大会のメンバー入りを目指す彼にとって、大きな自信となるこの勝利に歓喜しました。しかしこの週末、誰よりもヘイワードフィールドで大きな喜びをかみしめたのは中国の蘇炳添(Su Bingtian)でした。この25歳の選手は9.99秒で3位、アジア出身で初めて100mで10秒を切る選手となると、喜びに溢れスタンドの熱狂に身振りで応じる様子をみせました。トラックタウンUSAでも文化の違いで異なる優勝の喜び方が見られた瞬間でした。

この日のユージーンでは多くの自己記録も作られました。ジャスティン・ガトリンもその喜びをかみしめようと、200mでの優勝を果たし、自己ベストタイの19.68を記録しました。アメリカ出身の彼は6レーンからバウワーマンカーブを、まるで観衆の歓声を目指すように走り抜けました。もちろん、彼はリオへの意気込みも臆することなく口にします。NBCに、今年の夏に北京で行われる世界大会や、来夏のリオのオリンピックで世界最速のウサイン・ボルトと対決する可能性について聞かれると、「混戦になるだろう」と答えました。

ディババ
男子の競技は金曜日の夜、気温が下がった後に行われましたが、女子5000mは太陽を真上に受けての白昼の戦いとなりました。ゲンゼベ・ディババもモーと同様遅いラビットから勇気をもって抜け出し14.19.76で優勝しました。このような悪状況に関わらず、24歳のエチオピア出身選手は姉ティルネシュの持つ世界記録の14.11.25に肉薄する記録でフィニッシュしました。

イングリッシュ・ガーデナー
「オレゴン・ダック」の愛称で呼ばれるオレゴン大学選手であったイングリッシュ・ガーデナーは、母校のグランドでの100m Bファイナルで10.84のパーソナルベストを記録し、この女子の花形イベントでどこまでいけるか、将来への希望を抱きながらヘイワードフィールドを後にしました。「見ることもできず、ほとんど信じることもできない、ヘイワードフィールドの魔法です。ここでは自分ができると思う以上に頑張れるのです。まるで今までで一番美味しい、世界で唯一ここでしか食べられないチョコレートサンデーを食べられた気分です。」と、レース後にガードナーはうれしさを口にします。

シェリー=アン・フレーザー=プライス
現オリンピックチャンピオンのシェリー=アン・フレーザー=プライスも国際女子100m種目の優勝で、シーズン初めに見せた不調を振り払いました。髪に青色を編み込んだジャマイカ出身の、北京とロンドンで金を勝ち取ったシェリー=アンは、2013年以来の最高記録となる10.81でフィニッシュし、女王としての威厳を見せつけました。

アリソン・フェリックス
アリソン・フェリックスは、400mの最後の100mでサンヤ・リチャーズ=ロスを振り切り、2011年の世界大会で銀メダルを取った時以来の好成績となる50.05で優勝しました。この二人の対決となることはスタートからはっきりしていました。3レーンと4レーンのフェリックスとリチャーズ=ロスが接戦を続け、フェリックスが勝利に向かう最後のカーブを最初に抜け出しました。

ルノー・ラビレニ
フランスの棒高跳び選手、ルノー・ラビレニは疑問符を抱えてユージーンに到着していました。2012年のオリンピックチャンピオンで世界記録保持者ですが、フランスのクラブの大会の4x100リレー中に転倒し、金曜日の記者会見では肩に包帯を巻いて登場したのです。しかし、ラビレニは勝負ができないようならばユージーンには来なかったと話しました。土曜日、怪我をした様子も見せずにラビレ二は屋外自己ベストとダイアモンドリーグ記録となる6.05mを飛びました。さらに、トラックタウンUSAの会場で盛り上がる観客に、入場料を払った価値を見せようとするかのごとく、自分が持つ世界記録でインドアのベスト記録である6.16mに挑みますが、3度の挑戦は失敗に終わりました。

キラニ・ジェームズ
男子400mでは現世界チャンピオンのラショーン・メリットが、宿敵で2012年のオリンピックチャンピオンのキラニ・ジェームズと戦いました。それぞれ、アメリカとグレナダ出身の長年のライバルは、フェリックスとリチャーズ=ロスのように3レーンと4レーンの隣り合わせで最初の300mを並走しました。しかし、メリットとは9−5の戦績のジェームズが余力を見せて加速し、最後のストレッチで絶対的な差を生み出して43.95でフィニッシュしました。これも今年最高の記録となり、同時に毎年5月のこの大会で記録やシーズンベストが生まれるヘイワードフィールドを、アスリートが好む理由の裏付けとなりました。

三段跳び
おそらく、近年のダイアモンドリーグサーキットの中で最もずば抜けたパフォーマンスを見せているのが、コロンビアのカテリン・イバルグエンです。31歳の現世界チャンピオンは、僅差でエカテリーナ・コネワを凌ぎ、ダイアモンドリーグ24戦連勝を決めました。