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2015年6月18日

INSIDE ACCESS: ナイキ フライウィーブ テクノロジー

1972年の創業以来、ナイキは常に世界のトップアスリートのニーズに応えるため、先見的かつ技術的にも進んだプロダクトをデザインしてきました。このような進化への意欲が、特定の動きに適したサポートを提供するアッパーシステムのフライウィーブの開発にもつながっています。

素材を精密に織り上げて作られるフライウィーブは、足の自然な動きを最大限に生かし第2の皮膚のように働く繊維のアッパーです。1枚の素材を織り上げるこの製造工程は、何世紀も行われている素材を切断し縫製するシューズの製法を一変するものになります。フライウィーブ製法は、デザイナーが個々のアスリートや各スポーツ特有の耐久性、強度、安定性に関する情報を入手し、それらの要望に応えるよう開発されました。

「宇宙でも使える『織り』の技術です。伝統的な織りの技術からインスパイアを得ながらも、宇宙でも使える素材に引けを取らない強さと信頼性を発揮するこのフライウィーブは、私がナイキで見てきた中でももっともエキサイティングなイノベーションです。」とナイキのデザイナー、トーマス・ベルは述べます。

宇宙産業から生まれた技術

4年前、ベルは宇宙産業で広く使われていた高度な繊維に関心を持っていました。そのプロダクトの強度、信頼度、機能性は人の命をも救えるものです。また、軽量で耐久性のあるナイロンを使用して精密なバッグをデザインしていた経験もあって、ベルはこの技術的に優れた布帛素材に興味を持ち、自分の実験に用いる事にしたのです。

「ナイキクラフト」バッグの本体にはゴアテックス、ケブラー、Nomexの複合材であり、微小流星物体からも体を守る、オーソファブリックと呼ばれる素材を使用し、底の部分には、アメリカの火星探査計画(マーズ・パスファインダー)ミッションの着地時のエアバッグに使われた事で有名なヴェクトランを使用しています。

素材技術を改良するに当たり、ベルはナイキの各分野で勤務した12年間に、数えられないほどの素材を試してきた経験を活かしました。その実験の結果生まれたのがフライウィーブです。

テキスタイルデザイン101の基礎

通常のテキスタイルは「編み物」か「織物」のいずれかです。様々な業界で、デザイナー達は「ニット」あるいは「布帛」にこだわり、その結果2012年にはスポーツシューズの新しい設計方法としてナイキ フライニット テクノロジーが生まれました。

編む事により糸はたくさんの輪をなしていき、並んだ輪が絡み合っていく事によりステッチが出来上がっていきます。そのような編み物の基本から、ナイキ フライニット テクノロジーが生まれ、以前の生産工程より廃棄物を削減することができ、鮮明なデザインを生み出す全く新しいフットウェアの製法となったのです。最初はランニングシューズとして登場し、今やベースボール、バスケットボール、サッカー、トレーニングなどの複数のスポーツ向けに使用されているナイキ フライニットは新鮮で美しいシルエットを生み出す新しい製法として確立しました。

ベルは、編み物よりも強く複雑な工法である布帛繊維の開発に、ナイキの「ニット」における会社全体の経験を生かし、フライウィーブの誕生を導きました。その道のりで、縦糸と横糸の2つの組をなす糸を交錯させ織られる布帛工程の専門家となりました。素材のとじ目を糸で織り合わせてつなぐことで、フットウェアの構造に最大の強さを与え、スポーツ特有の激しい動きにも対応します。

精密技術

コンピューターを活用した技術により、デザイナーはメガピクセルレベルで個々のフライウィーブのアッパーをカスタマイズすることができます。素材の織りを調整できるため、中綿を入れて快適性や安定性を高めるための小さなポケットなどを追加することも可能です。例えば、シュータン部分のフライウィーブの開口ポケットにフォームのクッション材を挿入し、足の甲の舟状骨への衝撃を抑えることもできます。また、シューズの内側や外側の強度やサポート性を高めるためにフライウィーブのアッパーにフライワイヤー ケーブルを組み混むことも可能です。

「たくさんのデザイナー達がこのテクノロジーを使用しており、2014年に発表したエア ジョーダン 29の布帛素材のアッパーを世に送り出した時よりも、もっと多くフライウィーブで実現できるようになっていることに興奮しています。」とベルは述べています。

フライウィーブの多様な機能性

ナイキは、昨年エア ジョーダン 29(バスケットボール)、ナイキ TW’15(ゴルフ)、ナイキ CJ エリート TD クリーツ(アメリカンフットボール)、ナイキ CJ3 フライウィーブ トレーナー(トレーニング)ら、4つの特徴的なシューズにこのフライウィーブを使用しています。

フライウィーブの未来

ナイキ バスケットボールのフットウェア デザイン ディレクターであるレオ・チャンなど、多くのナイキ デザイナーがフライウィーブの未来に心躍らせています。最高のイノベーションをバスケットボールでも実現するべく、チャンはベルと一緒に長時間をかけて新しいフライウィーブ製のバスケットボールシューズを作り出し、これはまもなく発売となります。

「フライウィーブは精密かつ快適なフィットと驚くほどの強さを提供するもので、バスケットボールにとっても大きな技術的特長となります。楽しみなニュースもまもなく発表できるはずで、これまでに得ているアスリートからの反応も、私たちの期待以上のものになっています。」とチャンは述べます。

ナイキの最も革新的なフットウェア テクノロジーの基本にあるのは、何世紀にも渡って存在する編み物や織物の技術ですが、先駆的なデザイナー達は、ナイキの革新を求めるDNAから生まれた素材や製法を用いて、それらの技術をさらに進化させ続けていきます。