Press Release

メディア関係者向け お問い合わせ先
ナイキジャパン広報本部
NikeJapan.Communications@nike.com

2017年8月2日

ビル・バウワーマンの最初の製品試作を基にしたコルテッツ発売

ナイキ クラシック コルテッツ KM QS ¥11,880(税込)

2017年5月のある朝、長距離ランナーだったケニー・ムーアの元に大きな段ボール箱が届きました。彼と妻のコニーは、自宅前からその箱を運び込み開封すると、その中には、発売45周年を迎えるコルテッツの新作が12足入っていました。その中の白いシューズの側面にはMOOREの名前が記され、中敷には彼がかつて実践していた陸上のトレーニングスケジュールがプリントされていました。それを見ると、このシューズの誕生につながった52年前の1965年に開催された、カンファレンス・チャンピオンシップの2つの競技で優勝した次の日のことが思い返されました。

大会当日の朝、オレゴン大学の選手だった彼は、長めのトレーニングランに出かけました。しかし、右足の痛みで力を入れることもできず、ランニングを中断せざるを得ない状態でした。レントゲン写真を撮ると、ムーアの第三中足骨が骨折していることがわかりました。彼の陸上コーチであったビル・バウワーマンは、練習に使っていた彼のシューズを見せるように言いました。すると、それはランニング用のシューズではなく、走高跳用のものだったのです。

バウワーマンは、その靴を分解しました。すると、クッション用のパッドは最低限しかなく、アーチサポートはそれよりも少ないことがわかりました。「最低なシューズだな。」と、バウワーマンはムーアに言いました。

ムーアの骨折が治るまでの6週間、バウワーマンは彼のランニングに関する問題に対処できる特製のシューズを作ることにしました。その年の6月、彼は日本の生産パートナーにサンプルと指示書を送り、クッションとアーチサポートと耐久性を高めたランニングシューズの制作を依頼しました。それから間も無くして、バウワーマンの元にはムーアのシューズの最初の試作品が届き、ムーアはそれを履いて走り始めました。

「最長で30マイル(48km)まで問題なく走れるようになりました。」とムーアは話します。ムーアはそのシューズを履いて、週に2、3回走った後にバウワーマンにシューズを戻し、検査してもらうようになりました。

バウワーマンがムーアのために最初に制作したシューズ

バウワーマンは、トラックでのレースのためのスパイク付きのシューズも制作しており、どちらかというとそちらに強いこだわりを持っていました。「レースが終わってシューズを脱ぐと同時に、それを取り上げられるくらいの状態でした。」とムーアは記憶しています。続けてムーアは話します。「私がレースのために履いていない時には、彼がシューズを持っているというのが基本でした。」

2人は、シューズについてあまり多くを語ることはありませんでした。「何が良いか、どこが悪いかは話さなくてもわかりました。どこか壊れたり、私に靴ずれができたりすれば、どこを変えるべきかコーチであるバウワーマンにはわかるからです。」とムーアは話します。バウワーマンは工場に連絡を取り、ソールを厚くしたり、ベースを幅広にして様々な足型にアッパーを組み合わせたりするなど、どこを変更するべきかを伝えました。そして、工場で作られた試作品がムーアに送られ、彼の試履きをもとにバウワーマンが改良や承認を行ないました。

この作業は秋の間中続き、ムーアは様々なバージョンのシューズで1000マイル(1600km)以上を走りました。ムーアは、新しいシューズを履くたびに、その良さを気に入っていました。「全てが私のための特製シューズだったのです。新しい試作品を履くたびに、より良い走りができるという恵まれた状態でした。」とムーアは話します。

ムーアは、1969年の雨の日のことを特によく覚えています。新しいスパイクを履いて、ウレタンのトラックをオレゴン大学の選手たちと一緒に走った日のことです。「マイルを重ねるたびに速くなり、最後の2マイルで、4分24秒から4分18秒になりました。シューズの進歩を実感しました。」とムーアは話します。

ムーアは、このシューズが自分のために作られたものだということが大きかったと言います。「このシューズはあらゆるランナーの問題に対応するために作られたものではなかったのです。私の問題、つまり、私がもう2度と骨を折らないようにするためのシューズとして作られたのです。」とムーアは話します。バウワーマンがムーアのフィードバックをうまく活かしたおかげで、後にコルテッツと名付けられる彼のシューズの完成品は、優れたトレーニングシューズの業界基準になっていったのです。

ムーアにとってコルテッツは、単に良いトレーニングシューズであるだけではなく、それ以上の存在です。これは、バウワーマンとナイキにとって、アスリートのパフォーマンス向上のためにより良い製品を作る、という思いの象徴でもあるのです。
「ナイキはこの歴史的なシューズを再現しただけではありません。このシューズが活躍した時代までも取り戻してくれたのです。」と新しいコルテッツを手にしたムーアは話します。

ナイキ クラシック コルテッツ KM QSは8月11日からNIKE.COM及び、一部のNIKE販売店にて販売予定です。

オレゴン大学のトラックでレース前にウォーミングアップをするムーア

画像データはこちらのリンク左上にある「DOWNLOADS」よりダウンロードをお願い致します。