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2017年9月19日

ナイキNBA ユニフォーム開発の裏にある型破りの科学

2015年6月に発表したナイキとNBAとのパートナーシップは、2017-18 シーズンから開始します。本日、ナイキとNBAは、これまでにない技術的進化を遂げたリーグのジャージーとショーツを開発したナイキデザイナー、エンジニア、プロプレイヤーとスポーツ科学者の協力関係について紹介します。

20年前、バスケットボールは今よりももっと荒削りな競技でした。ボールをホールドしたり、体をつかんだり、ペースも遅く、順序を踏むように試合が進んでいました。しかし、ルールが変わりました。(ゾーンディフェンスとアイソレーションプレーに関する規制の緩和に始まる)不正ディフェンスに関する変更や、手を使うプレーの禁止の強化によって、ゲームがより速く、流動的になったのです。次第にプレイヤーたちは多様なプレーをこなし、素早い決断ができるようになっていきました。これまでほんの少しのチームの特徴として採用されていた、小型の選手の多用や、ワイドオープンなオフェンスが、新しい基準となったのです。「アスリートの動き方からポジション、そして体の形まで、5年、10年前とは全く変わってしまったのです。だからこそ、ユニフォームの機能性と見た目も大幅に変えたいと考えたのです。」と、アパレルデザイン担当副社長のカート・パーカーは述べます。

2015年6月にナイキとNBAのパートナーシップ提携が決定したときに、この目標がまず定められました。ナイキのデザイナーたちは間も無く、アスリートを涼しく、ドライで動きやすい状態にキープするためにあらゆる邪魔なものを取り除くことと同時に新しいスマートな印象を放つユニフォームの製作にとりかかりました。

25年間の組織としての経験と、4年に1度の機会、つまりリオの大会を活用し、世界最高の選手たちから意見を取り込みました。

リオの選手たちは、ナイキエアロスイフト技術を活用した機能的ニットのジャージーとショーツからなるナイキ ヴェイパーユニフォームを初めて着用しました。現時点でもこのキットはナイキバスケットボールとして最先端の製品です。「リオの大会が私たちにとってのスタート地点でした。NBAの準備として、ユニフォームのあらゆる部分を精査し、リオ以降、ほとんど全てを変更しています。」とパーカーは述べます。

ナイキのエンジニアとデザイナーは3つのエリアに特にフォーカスしてこの精査の作業を行いました。それは動き、体温調節とフィットでした。動きについては、スポーツ研究者たちはデータを収集し、バスケットボールプレイヤーほど多様な動きをするアスリートはいないという結果に至りました。一般的なゲームでは、プレイヤーは一人当たり6.4km以上動き、その中には1.6秒程度のフルスピードでのダッシュも含まれます。2秒ごとに、1ゲームで合計1000回方向転換し、ジャンプも平均踏み込み時間0.16秒で合計42回飛び上がります。

「バスケットボールは、ベンチに座っていたかと思えば、トップスビードでダッシュして、何秒も経たないうちにできるだけ高く飛んだり、他のどのスポーツに比べても動きの変化の多いスポーツです。」とパーカー。

プレイヤーの一人一人の走り、カット、ジャンプの動きと連動するユニフォームを作る方法、さらには体温調節に関する情報を探るため、チームは膨大な時間を試験に費やしました。心地よさ、破裂、毛羽立ちや洗濯試験から、デジタルボディスキャンを行なって発汗部、接触の多い部分、バスケットボールプレイヤーの動作を妨げないために必要な部分などを検証して、アトラスマップと呼ぶ図に示す作業も行われました。「アトラスマップの作業はこれまでにも行なったことがありますが、NBA アスリートの体のタイプに特に注目して行なったのは今回が初めてです。」とパーカー。

デザイナーは3種類のアトラスマップを重ねて、立体的にユニフォームをデザインする方法を検討しました。例えば、マップによれば胸の周囲は汗をかき、肌に素材がまとわりやすいことがわかりました。「確かに選手たちがジャージーの胸のあたりを引っ張って肌から離そうとしています。レブロンは常にやっています。そこで、ジャージーを緩すぎずきつすぎず保ちながら、汗を吸い取る方法を見つけなくてはいけないと考えたのです。」チームでは特殊なニット素材を使用して、ニットの構造をプログラムして空気の流れを高める立体的なゾーンを作り、その上に小さな節をつけて肌に素材がまとわり付くのを防ぐようにしました。

ジャージーの前身頃には立体感をつけた糸を使い、肌にまとわりつくのを防ぎながら通気性を高めます。
ジャージーの裏側は通気性と換気を最大限に高めるために、立体感のある糸を使って面とは少し異なる目の荒いメッシュに作っています。

体温調整を促すことで、ジャージーの肌感触にまで変化を生み出しています。「多くの場合、ゲームの結果は最後の5分で決まります。その時にジャージーが邪魔になると言うのは最悪です。」とパーカーは述べます。NBAで2度MVPに選ばれたスティーブ・ナッシュもパーカーに同意見です。
「温度は重要です。素材がよく息をして汗をよく吸い取ってくれたら、体が温まった状態でも、暑くなりすぎることもないですから。」

同様に、デザイナーはマップから得た可動域の情報を元に、ユニフォームの形状を改良しました。ジャージーの後ろ身頃の肩の辺りに(これまでのようにリブ素材を繋げるのではなくて)波型の形状を取り入れ、動きを高めるために入れるショーツのすその切れ目は少し前側にずらし、カットやディフェンスの時にプレイヤーの足がより自由に動けるようにしています。「通常、プレイヤーは動きやすさを求めるときに、大きなサイズのユニフォームを選ぶことがあります。しかし、このマップの活用でプレイヤーのニーズに合わせてユニフォームのフィットを調整することができたので、NBAの歴史上で最軽量のユニフォームに作ることができました。」とパーカーは述べます。

アトラスマップから、肩の後ろのアームホールの切り方を調整することにより、
アスリートがより自由に動けるようになることがわかりました。

ショーツの前の方に裾の切れ込みを移すことで動きやすくしています。

デザインを試し、実際にアスリートからユニフォームの着心地に関する意見を得るため、ジャズ、マーベリックスやブレーザーズを始め、多くの大学チームがユニフォームを試しました。「選手たちはユニフォームを着て練習をして、そのあとすぐにデザイナーやプロダクトマネージャーに、ストラップや腕周りをどの程度カバーするべきか、ショーツの長さなど、いろいろな意見を伝えてくれました。」とパーカー。

このような過程が繰り返し行われました。ナイキチームが研究を行い、ユニフォームを試作し、アスリートに1週間程度練習に使ってもらい、彼らの意見を得て新しい試作品を作り、また同じプレイヤーにテストしてもらうという作業を1年程度繰り返しました。

もう一つテストの中で重視されたことは、様々なプレイヤーの体型の違いに対応することです。一つのスタイルで全てのアスリートが格好良く見えるものにしつつ、一人一人が自分のためにあつらえられたと感じる着心地にすることも必要なのです。「人並み外れたサイズの選手たちです。206cmで108kgのデュラント、203cmで113kgのレブロンから、175cmで83kgアイザイア・トーマスまで、その間にもあらゆる体型の選手がいます。」とパーカー。

スタイルも大事です。とはいえ、リーグには19歳の新人から40歳のベテランまでが揃い、一人一人がフィットや着心地には一家言持っています。
「年上の選手は、大きくてゆったりとしたユニフォームが好みで、若手は短めのショーツやスリムなジャージーにもそれほど抵抗がありません。」

これまででも最もスリムなジャージー。

ショーツはこれまでよりも短めで体にフィットします。

機能性とスタイルに加えて、アスリートたちはユニフォームに感情移入できることも大切だといいます。

「カイリーがよく話してくれたのですが、プロレベルに達するということは、エリートの会に仲間入りをするようなものだというのです。選手たちはそこに誇りを感じています。」その気持ちが彼らのパフォーマンスを高める可能性もあります。「見た目によくなると、気分も上がり、ゲーム内容も良くなります。」とパーカーは述べています。

Nike NBA アイコン エディションユニフォームは10月18日、ステートメント エディションユニフォームは11月20日からNIKE.COM及び一部販売店で発売予定です。

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