Press Release

メディア関係者向け お問い合わせ先
ナイキジャパン広報本部
NikeJapan.Communications@nike.com

2014年3月14日

INSIDE ACCESS: ナチュラルモーション

「ナイキ フリー」が発売されたのは10年前ですが、ナチュナルモーション(自然な動き)というデザイン理念が生まれるきっかけは、ビル・バウワーマンと「ナイキ コルテッツ」の時代にまで遡ります。

子供のころを思い出してください。砂の上を目がまわるほど走り回ったり、穴を掘ったり、波をよけたりしたあの夏の日を。そして、夕暮れ時の蛍を追いかけて、露にぬれた草原を一心不乱に駆け巡ったことあの日を。シューズやソックスを履いていることに縛られず、地面と一体になり、地面の質感や温度を肌で感じながら、自由に走ることは気持ちのよいことです。花火のようなこの感覚が、ナチュナルモーションという考え方、そしてアスリートを限りなく接地面に近づけ、体や生まれつき持っている運動能力に合わせたシューズを作ろうというナイキのミッションを生むきっかけとなりました。

『大事なのは足であって、シューズではない』
‐ナイキの共同創立者ビル・バウワーマン

「足を保護しトラクション機能をもたせながら、軽量感と履き心地を維持したシューズをつくりたい」、というバウワーマンの根底にある理念により、ナチュナルモーションというデザイン理念が生まれました。このデザイン手法は、10年前に最初に登場した、裸足で走るという生体力学研究を駆使し、柔軟性を提供してくれる「ナイキ フリー」に見られる特徴です。

「ナイキ フリー」はシューズの持つ可能性を広げ、ナイキがシューズをデザインする方法を変えてきました。

ナイキ フリー誕生前

大きな変化は一晩の間に起きたわけではありません。「ナイキ フリー」は、「ナイキ コルテッツ」に始まり、軽量性そしてピッタリとしたフィット感を兼ね備えたシューズを何度も繰り返してデザインしてきた過程で誕生したのです。

ナイキ コルテッツ

「ナイキ コルテッツ」はビル・バウワーマンがデザインしたナイキ初の陸上競技用シューズで、2種類の高密度フォームで構成された、フルレングスのミッドソールが用いられた初めてのシューズでした。アッパーの素材は、初回販売時はレザーで、後にバウワーマンによってナイロンとスエードに変更され、このシューズは快適性と軽量化の基準となりました。ハットフィールドは、このデザインについて、次のように話しています。『バウワーマンはシンプルであるほど良いという考えの持ち主でした。このシューズは今でもアスリートに本当に必要なものを提供するという理念の最高の模範となっています。』

ナイキ ソック レーサー

「ナイキ ソック レーサー」は、多くの面で革新的でした。ソックスなしで履くことを目的としたナイキ初のシューズで、シューレースもなく、イエローとブラックの配色も当時は非常に珍しく、1枚のメッシュで作られていました。「ナイキ ソック レーサー」は競技用に開発されました ― イングリッド・クリスチャンセンはこれを履いて、1986年のボストンマラソンで優勝しました。

ナイキ エア ハラチ

1991年、「ナイキ エア ハラチ」は、「エア マックス」や数々の「エア ジョーダン」のデザイン、また藤原ヒロシとマーク・パーカーとナイキHTMモデルの共同デザインを手掛けてきたティンカー・ハットフィールドがデザインしました。この「ナイキ エア ハラチ」は、新しい素材の使い方が特徴的でした。当時フットウェアの素材としては、サーフィンブーツでしか使われて いなかったネオプレーンをシューズのアッパーに採用しました。また、アキレス腱の周りにラバーストラップを巻いただけで、ヒールカウンターを取り払ってしまった初のナイキランニングシューズでした。現在の「ナイキ フリー」の各モデルも、エアハラチの特徴を引き継ぎ、ヒールカウンターがありません。

ナイキ エア リフト

「ナイキ エア リフト」は、ナチュラルモーションの実現に対する初期の試みで、足の指が推進力を発揮する重要な部位だという理解に基づいて設計されました。デザインチームには、多くの一流長距離ランナーたちが立証した裸足スタイルを反映したシューズのアイディアがありました。その結果、足指が分かれた変わったデザインのストレッチサンダルが生まれました。たちまち人気が出て、品薄になってしまいました。

ナイキ エア プレスト

トビー・ハットフィールドは、保護のために過度に重量化した1990年代のランニングシューズに対して、「ナイキ エア プレスト」と初期の「ナイキ フリーモデル」をデザインしました。ゆったりとして伸縮性のあるアッパーと、シューレースを固定するためにシューズのサイドに薄いプラスチックの格子が施されたスリムなデザインでした。

スニーカー専門ライターのゲーリー・ウォーネットはこのデザインについて、『「ナイキ エア プレスト」は足のためのTシャツみたいだ。サイズは、数字の代わりにXXXS-XXXL を使う構造で、「ナイキ ソック レーサー」の DNAがネオプレーンのフィット感とミニマリズムへのこだわりに生きているし、その奇抜さがランナーや先進的なデザインのファンの間でたちまち気に入られました。』と語っています。

トビー・ハットフィールドは、次のようにコメントしています。
『なぜプレスト2を作らなかったのかと訊かれますが、いつもこう答えるのです― それは「ナイキ フリー」という名前だよと』

トビー・ハットフィールドを始めとするナイキデザイナーチームは、2001年にスタンフォード大学を訪問した際に、ヴィン・ラナナ監督率いる陸上チームが大学のゴルフコース上を裸足でトレーニングしているのを見ました。ラナナ監督は裸足でトレーニングすることでランナーたちの足が強化され、パフォーマンスが向上しているのではないかと推測していることを教えてくれました。これが「ナイキ フリー」を誕生させるきっかけになりました。

足底圧分布図やモーションキャプチャーといった高度なスポーツ科学技術を用いて、ナイキスポーツ研究所の研究者たちは、アスリートたちが裸足で草の上を走るときのつま先、足首、膝、お尻の生力学的分析を行いました。デザイナーたちは、この情報を科学的根拠に、最初の「ナイキ フリー」のデザインを開始しました。

フリーザーでの発見

トビー・ハットフィールドは、スポーツ研究所で得られた情報に基づき、デザイン開発の初期段階から『靴底に注意を集中させる必要性』と『ソールを関節のように分割すること』を彼のチームが認識していたことを思い出します。答えを模索する中、ハットフィールドは製氷皿が氷の塊を分割し、皿を曲げやすくしている様子を思いつきました。

製氷皿にヒントを得て、チームはいくつもの固形物を集め、これを一枚の柔らかい布でつなげて、新しいキネティック(動的な)足型を設計しました。その結果できた分断されたフォームは足のように有機的に動き、最初のナイキ フリーシューズ製作を続ける中、ナイキデザイナーたちにとってナチュラルモーションと屈曲性を象徴するものとなりました。

ナイキ フリーの足掛かり

2002年、ナイキスポーツリサーチラボは、「ナイキ フリー 5.0」の生産見本品をテストし、従来のランニングシューズとの違いや、自然な走りができることの利点を調べました。従来のランニングシューズを履いて走ったりトレーニングした比較対象群と比べると、「ナイキ フリー 5.0」で走ったり、トレーニングしたりしたグループには、足と足首の筋肉の強化や成長、つま先、足、足首の柔軟性の向上、全体的なバランスの改善がみられました。

短距離世界王者のアリソン・フェリックスは次のように話しています。
『ナイキ フリーフットウェアをトレーニングで履くのは、とにかく足を強化するためです。シューズを履いてもナチュラルモーション(自然な動き)ができるのでとても気に入っています。一人ひとり足の動きは違うので、自分の足に合わせて動いてくれるシューズを履けるのは素晴らしいことです』

「ナイキ フリー 5.0」は、2004年のスプリングシーズンに発売された直後、すぐに熱狂的なファンから注目を集めました。ナイキ フリーは新しく得られた生力学の知識をスポーツ用フットウェアに取り入れ、ナイキのデザイン理念の礎となりました。「ナイキ フリー」は、ランニングとトレーニングフットウエアにナチュラルモーションの理念を表現したものですが、そのデザイン理念はナイキのほぼすべての商品にも影響を与えています。「ナイキ フリー」、「フライニット」、「フライワイヤー」や「DRI-FIT タッチ」などの革新的テクノロジーはすべて動きを妨げず、ナチュラルモーションを促し、アスリートが個々の動きの可能性を最大限に実現できるようにするためにデザインされています。

ランニング、ウィメンズトレーニング、アスレチックトレーニング、ナイキ スポーツウェアに関する最新の情報はNIKE.COM/FREEをご覧ください。