2016年7月8日
体操チャンピオン、シモーネ・バイルズの躍進のきっかけとなった知られざる苦悩を母親のネリー・バイルズが語ります。
シモーネをスポーツ心理学の専門家に最初に合わせたのは、2013年の悲惨な結果に終わった大会の後でした。ウォームアップの時、平均台から3度も落ち、しかもその落ち方の中には、命にも関わりそうなものもありました。コーチが「もうこれでおしまい。彼女を休ませて。」と言うほど、シモーネにとっては最も悲惨な経験でした。
次の大会では、自滅してしまいました。「私はそんなに上手ではないの。できない。」と言い始め、ふさぎ込んだり、泣いたり、体育館の中でも感情を隠すことができずにいました。その時、彼女が自分自身への期待や、他の人の期待をコントロールできるようにするために誰かの助けが必要だと思ったのです。
その後、全国大会に出場し、総合競技で優勝しました。この経験が彼女の気持ちを本当に盛り上げたのです。世界選手権では、「このために練習してきたことを忘れないで。最高の演技を見せてきて。」と彼女に伝えました。さらに、試合の前に、3つのことを伝えています。それは、「安全に、集中して、最高のシモーネを見せなさい。」ということです。
その「最高」の意味はどうであっても構いません。それが1位になるということでも、4位になることでも良いのです。世界選手権を見ているとき、それは素晴らしい大会だと感じていました。夫が「他の人が言うには、シモーネにも勝ち目はあるらしいよ。」と言っていたのですが、その時は、全く信用していませんでした。
しかし最後の種目の床になると、夫が、「シモーネは14ポイントぐらい取ると優勝だ。」と言いました。それだけの点を取る力があるとはわかっていましたが、その時にどんな演技をするかは知りませんでした。そして彼女は、床の種目で素晴らしい演技を見せたのです。私はスコアを見て大声で叫び、泣きました。ここまで来るまでの彼女の努力を見ていたからです。
そしてこの夏に向けてはどんな準備をしているの、と娘に聞くと、「ママ、最初の世界選手権の時と同じように準備をしているのよ。」という答えでした。彼女は毎年準備を重ねています。常にその日1日に集中して準備をする、それが大事なのです。
シモーネは私の知る限り、誰よりも負けず嫌いで頑固な人間です。これは、私が一番わかっています。娘が自分の目標を毎年紙に書いているところを見ていますし、それを実現するためには、どんな努力でもする子です。体操にかける思いも、私でも尊敬したいくらいです。その一方、家の中で逆立ちをして飛び回ってはしゃぐ6歳の子供のような面もあります。大会で笑顔を見せて、手を振ったり、ふざけたことをしているなら、それは彼女の調子が良い証拠です。
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