2017年3月8日
ベルリンのブランデンブルク門、ボストンの心臓破りの丘、ロンドンのテムズ川沿いの道、ニューヨークシティのヴァラザノ=ナローズ橋、ミシガン湖を取り囲む景観。これらは、世界でも有名なマラソンコースの大きな特徴で、毎年、何万ものランナーがこのコースに挑むために練習を続けます。単に42.195kmを走破するだけではなく、各大会ごとに異なる気象条件や路面環境に備えるための準備もします。
ほとんどのランナーにとっては、完走することが大きな目標となります。しかしナイキの大きな挑戦となるBreaking2に関わるアスリートのエリウド・キプ チョゲ、レリサ・デシサ、ゼルセナイ・タデッセにはさらに大きな目的があります。それはランニングの世界でも神の域と思われている、マラソン2時間の壁を破ることです。
うなりを上げるエンジンや忙しく動き回るピットクルーは、マラソンの世界とはこれまでほぼ無関係にありました。しかし、大いなる野望を叶えるには、既定概念を破る考え方が求められます。キプチョゲ、デシサとタデッセの挑戦を支える多様な人材からなるBreaking2チームは、都市を拠点にしたコースという考えを転換し、スピードの代名詞とも言えるオートレーシング トラックに目を向けました。
理想的なレース場所の決定には、最適な条件を整えるというただ一つのゴールのために、高度、気温、気圧などを始め、膨大な要素からなる環境的特徴の検討が求められます。
最適な場所を見つけるために、世界各地をくまなく探した結果、Breaking2チームはイタリア、モンザ郊外にあるアウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァの2.4kmのループに決定しました。
この場所は、環境的な必須要件を備えています。気温は常におよそ摂氏12度程度、気圧も12mmHg以下です。さらに、空はどんよりしていることが多く(ランナーに対する熱による負荷を最低限に抑えられる)、コースが海から離れ、多くの木々に囲まれた場所にあるため、気流の方向が突然変わることもありません。
当然これらのデータや環境条件が2時間の壁を破ることを保障するわけではありません。ループ構造、コースの長さや高度もその挑戦を最適化するための必須条件となります。
さらに環境条件を説明します。
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