12月4日、ベンジャミン・ネトンコムは、ボストンのホームであるTD バンクガーデンのセルティクスのベンチ後方、3列目1番の席に座っていました。彼が発想の源であるカイリー・アービングの試合を生で見るのは初めてでした。「電気が走るようなファンの盛り上がり・・・どれだけ多くの人が彼のことを好きかを感じます。」とネトンコム。
タイ出身で10歳の時にマイアミに移住したデザイナーのネトンコムは、アービングを長い間見てきました。多くのバスケットボールのプロジェクトに関わり始めてから9年たった2016年、ネトンコムにアービングのシグネチャーラインを担当するという大役が回ってきました。それ以来、彼はアービングの試合中のあらゆるステップを、ときには(ソーシャルニュースサイトの)Redditから海賊版の動画も見ながらあらゆる手段を使って確認していきました。
ネトンコムが初めてガーデンを訪れたその夜は、とりわけ特別な夜となりました。アービングがアリーナにいるすべての人を沸かせていました。「読めるようで読めない、ピンボールみたい」とネトンコムが説明するアービングの本領が発揮された試合でした。一度のポゼッションでオフェンスを導きながら、ほんの少しの隙間を縫うようにバスケットに向かうと思えば、ウイングでオフガードの場所を見つけて根気強く動き回る。
11月10日の顔面骨折の傷を守るマスクをはめて試合に臨んだアービングは、試合後半で19点を決めています。第4クオーター後半には8mを超える距離からの3ポイントで合計得点数を32点とし、得点コンテストで自らを優位に立たせると同時に、顔のギブスを外す喜びにあふれたお祝いにふさわしい盛り上がりをつくりました。
ボストンの観客も同じように盛り上がっていました。新しいスター選手の活躍でこの日の試合で地元チームは21勝4敗となり、シーズン当初の混乱からは想像できない好調ぶりです。
ロッカールームでカイリーに会いたいかと聞かれたネトンコムは、「彼が新しいシューズを履くまで待ちますよ。」と、彼がデザインしたカイリー 4のことを考えながら、遠慮がちに辞退しました。「しかも、明日は私にとって大事な日なので。」
12月5日は、アービングの4代目のシグネチャーシューズの実質的な発表パーティとなります。リークされたものの、シューズはまだ表立って紹介されていませんでした。何度もの電話会議、インタビュー撮影、メディア向けの詳細なシューズの紹介を経て、その全貌もあらわになっていき、同時にフットウエアデザイナーとしてほぼ無名のネトンコムの存在も変わることになります。
「彼なら頼れる!」
– カイリー・アービング
ネトンコムとアービングは、2016年9月7日のカイリー 3の展開プランを確認するミーティングで初めて会いました。その中で、ネトンコムがこの先製品ラインをリードすることになる人物であると発表されました。これは誰にとっても武者震いを覚えるような大きなキャリアステップとなります。「これまでの仕事とこの仕事の大きな違いは、これまでは私はデザインチームの中の一人であったのに、今やチームを引っ張る存在になったということです。大きなプレッシャーです。たくさんの人とチームとして協力できるとはいえ、それだからこそ緊張します。」
ネトンコムにとっては、夢に描いていた仕事をすることにもなります。フットウエアデザインの複雑さを理解し始めたマイアミのデザイン・アンド・アーキテクチャー・シニア・ハイスクール(DASH)の11年生(日本の高校2年生に相当)の頃から、ネトンコムはシューズ作りにはまっていました。デトロイトのカレッジ・フォー・クリエイティブ・スタディーズで工業デザインを学んだのち、オレゴン州ビーバートンにあるナイキ本社でインターンから仕事を始め、カイリー担当に至りました。
「工業デザインの本質は、問題解決です。すべてのナイキのクラシック・シューズを見ると、すべてが機能的イノベーションから生まれています。シューズはアイコン的存在になりましたが、元々は目的を満たすためのものだったのです。」と、ネコントムは自らが純粋なスタイルよりも機能性を追求する仕事に就いた理由を説明します。
アービングはとても特徴的かつ具体的な機能を求めています。ネコントムにとってそれら全てがデザインに与えられた挑戦となります。この、セルティクス11番のプレイヤーは極端な角度の方向転換でディフェンダーを惑わせます。どれだけ無茶でよじれた角度で足に体重を乗せることになっても、それをアドバンテージにするために、シューズには動きに対応するサポート性とグリップ性が求められるのです。「良いスポットを見つけ、バランスを崩さずにそこに入って、抜け出さなくてはいけない。そのスポットから踏み出す時に、足のどの部分がコートについていたとしても、バランスが崩れないということが絶対必要。」と、アービングは述べます。
アービングのプレースタイルに合わせたソリューションを作るというのがカイリーの製品ラインの基本です。これまでのモデルでも、一瞬の踏み込みのために、ソールの側面までトラクションシステムを延長させ、バスケットボールコートでの足元の安定感を高める新しいアイディアが取り込まれてきました。
カイリーの製品に用いるソールは、選手のユニークな一瞬の踏み込みの動きを念頭に、それに対応するために進化しています。
— ベンジャミン・ネトンコム
「テクノロジーの面で言えば、ベンは本当に頼りになる。彼が私のゲームとテクノロジーの間の橋渡しをしてくれているんだ。」とアービングは述べます。
ネトンコムがカイリー 4に用いたアイディアは、アービング自らの希望した足の下のクッション性の改善を(ズームエアのヒールユニットをクシュロン素材のミッドソールに組み合わせることで解決)しながら、同時により速いコーナーの動きを実現するというもので、これは主にアウトソールの屈曲溝をジグザグに刻むという、わかりやすい策で対応しました。ソールに巧みな切れ込みを入れることで、横方向のトラクションや反発性を高め、これまで以上にシームレスな移動を実現します。さらにアウトソールが足の側面まで包み込んでいますが、今回は牙のような側面の形を作ることで、スピードのために作れたシューズの印象を引き立てます。
「一緒に仕事を進める中で、このカルチャーにふさわしいシューズの外観や性質を進化させていきたい。」と述べ、さらに、「カルチャーを生み出すということは、進化に関わる中で、何か新しい魅力を提供するということを意味します。これまでにない何かを付け加えること。私のプレーのやり方に対して、新しいものを創造する自由を実現することにより、時を超える存在感を放つ新しいシルエットが生まれることです。」
ネトンコムも同意見であり、カイリー 4は「視覚的な表現はソリューションに導かれ生まれています。」と言います。
カイリー 4のジグザグの屈曲溝は横方向の動きの時のトラクションと反発性を高めます。
2つめに、素材選びや色のブロッキングは、アービングがナイキやジョーダンのビンテージのスタイルに興味を持っていることに影響を受けています。これはネトンコムにも共通する関心事でもあります。
それら古いバスケットボールシューズには、アービングによれば、「本格的な競技用シューズである、つまりバスケットボールシューズに求められるすべての要件を満たしているのと同時に、見た目に素晴らしい。」と言います。ネトンコムも、工業デザイナーらしい言い方で賛同します。「イノベーションが深く根付いているからこそ、クラシックと呼ばれるものになったのです。」
カイリー 4のブロッキングも同様です。前足部は、前作のカイリーのシルエットを一段グレードアップさせて、部位ごとに目の荒さを変えたメッシュを採用し、足を包み込むと同時に柔らかな履き心地も実現します。かかとにかけては、よりクラシックな素材を使っています。カイリー 4の多くのバージョンにはスエードやレザーを使用しますが、優れた履き心地に加えて、現代の人がどのようにバスケットボールを見ているか、という新しい課題にも挑戦する余地を提供しています。
過去のクラシックシューズなら、48分間もてはやされても、そのあとに残るのは静止画のポスターになりますが、現代では15秒の動画クリップの中に動き続けます。だからこそ、アービングはシューズが「より革新的であると同時に、よりクリエイティブになる必要がある」と言います。
アービングとネトンコムは、「視力検査のスピード」と二人が呼ぶ要素を重視し、常にその中でも「瞬間で印象に残る」ことを目指しています。
「特に人の目を引き、脳裏に焼きつき、人々を惹きつけ続けるものを作りたいと思いました。その人たちが特定の瞬間その場所にそのシューズが欲しくなる必要はなくても、30 秒のうちに引きつけてやまない魅力を発揮するものです。一つの部分を区切って、その部分を強調するブロッキングのデザインについても話し合いました。シューズにその特徴を加えたいと私が希望し、それがこの大作となったシューズのディテールにも生かされています。」とアービングが説明します。
アービングは、ほんの僅差で勝利に手が届かなかった気持ちを忘れないために、2017NBA ファイナルズ最終戦で飛ばされた紙吹雪(コンフェティ)の一片を持ち歩いています。「コンフェティ」カラーはカイリーの「勝つか、学ぶか」の心を表現したものです。
ブラック・ホワイトカラーのナイキ カイリー 4 “ANKLE TAKER”は、SNKRSと一部販売店で12月21日発売、ナイキ カイリー 4 EP “CONFETTI”は1月6日より発売致します。
画像データはこちらのリンク左上にある「DOWNLOADS」よりダウンロードをお願い致します。
ナイキは、2024-2025年の駅伝シーズンに向け、「EKIDEN PACK」コレクションを2024年11月22日より発売します。...
ジョーダン ブランドは、女子バスケットボールから得た洞察を生かしつつ、コートで活躍する全ての人のために作られた、ジョーダン Hei...
ロードランナーのための高度な機能性モデルから、トレンドセッターのコーディネートの定番となるモデルまでカバーするナイキのボメロシリー...
ナイキインク、全米バスケットボール協会(NBA)、全米女子バスケットボール協会(WNBA)は、グローバルアウトフィット、マーチャン...
ナイキとローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団は、日本のコーチのために特別に作られた、研究に裏打ちされた新しい指導者ガイドを発表...
ジョーダン ブランド史上最高峰のカプセルコレクションとなる、ジョーダン ウイングス コレクションが数量限定で発売されます。各プロダ...
Nigoは、現代のアーキビストであり、卓越したコラージュアーティストです。現代のストリートウェアとポップカルチャーを定義する媒体や...
マイケル・ジョーダンが登場する前、人々にとってバスケットボールは単なるプレーでしかありませんでしたが、彼の登場により世界中の人にと...
この夏、世界最高のアスリートたちがパリに集結する中、ナイキはパリの代表的なランドマークの一つであるポンピドゥー・センターと提携し、...
【左から】 ナイキ アルファフライ ¥41,800(税込) ナイキ ペガサス 41 ¥18,480(税込) ...
ジョーダン ブランドは、「Our Turn」を発表しました。「Our Turn」は次世代のために、次世代とともに作り上げた新しいブ...
世界最高峰のアスリートたちは、勝利を思い描き、勝利に執拗に突き動かされています。このマインドセットがナイキの2024年夏のキャンペ...
エア ジョーダン 39 “Sol” ¥30,030(税込) マイケル・ジョーダンのプレーは芸術とも言える動きでした...
ナイキ × ハイパーアイス ブーツ ナイキとハイパーアイスが、ウォームアップとリカバリーをさらに進化させます。アスリート*の...
ナイキ ペガサス 41 ¥16,500(税込) ナイキ ペガサスは「あらゆるランナーのためのシューズ」として198...
ジョーダン ブランドは、公益財団法人日本バスケットボール協会の男子、女子、3x3を含む日本代表チームの新しいユニフォームを発表しま...
NIKE BODE REC. SCRIMMAGE JKT ¥57,200(税込) NIKE BODE REC. LAC...
エア マックス、ジャンプマン、Breaking2を世に送り出してきたナイキが、再び歴史を作るために動き出します。ナイキを象徴するイ...
ナイキが、最先端のデザインツールとトップクラスのクリエイティブなスタッフ、そして13⼈の世界最⾼峰アスリートからなるチームを結成し...
ナイキ ティエンポ レジェンド 10 エリート AG-PRO 30 ¥28,930(税込) 初めてピッチに登場した...
ナイキ ペガサス 41 40年以上にわたり、ナイキ ペガサスはその信頼性で世界中のランナーに愛されてきました。ナイキ ペガサ...
ナイキの2024年男女代表キットには、ナイキのパフォーマンスアパレルの最高基準であるDri-FIT ADVを採用しています。ナイキ...