ナイキは、そのサービスの対象であるアスリート*と同様、常に進歩を求めています。この気候危機の時代において、進歩とは環境負荷を抑え、先々には環境負荷を生まないか、あるいはポジティブな影響さえ生み出せるような製品づくりや工法を見出すこと、つまり資源循環の実現を意味します。
この未来を現実とするため、ナイキの循環性実現のためのビジョンをもとに、環境負荷を抑える方法を30年以上模索してきた経験に基づく、野望的かつ科学的根拠を持つターゲットを設定しています。スポーツの未来を守ることは、地球の未来を守ることと同じであるという思いから、サステナビリティへの深い信念は生まれています。
製品デザイン、素材、製造、輸送、小売、製品回収を含む、ものづくりにおけるバリューチェーンで、明確な始まりや終わりがない姿を考えてみましょう。廃棄物が新しい素材の主な原料となり、バージン素材が生物を原料としており、生産工程自体から炭素が排出されない状態です。製品は環境に負荷を与えずに作られると同時に、その生産のために廃棄物が利用され、すべてのシューズ、シャツ、ショーツやパンツが、その寿命を終えた後にどのように分解できて価値のあるものに変えることができるかを考えてデザインされる状態です。
このような状態が本当の意味での循環システムであり、ナイキが長期的目標としている姿です。
そのゴールに向かうため、ナイキでは循環のためのデザインをたくさんの意図的かつ関連する数々の選択の総括と考えています。「完璧よりも進歩にフォーカスし、より良い選択をすることで、私たちがものづくりを見直す機会を大事に受け止め、それが結果として大きな変化になることを期待しています。」とナイキ チーフ・デザイン・オフィサーのジョン・ホークは述べます。
これは、より良い素材を調達し、設計方法、製造工程、そしてアスリートから製品を回収し修理やリサイクルする方法を再検討することも意味します。
壮大と思えるかもしれませんが、実際その通りです。従業員75,000人を超える企業が世界中のパートナーと協力したとしても、ナイキは未だすべての問題を解決したわけではありません。しかし前に進む方法は知っています。「みんなが賢い変化をするように全ての人に活気と力を与えています。また、多様かつ包摂的なチームを作り、アスリートと地球のためのイノベーションを追求し続けています。」とナイキ チーフ・サステイナビリティ・オフィサーのノエル・キンダーは述べます。「一歩ずつ総合的なアプローチを進めることが、循環する未来に向かうために重要です。そのようなアプローチから、順調に創造的なイノベーションが生まれています。」
ナイキはMove to Zeroという地球を守る理念を掲げ、二酸化炭素排出量及び廃棄物ゼロを目標にスポーツの未来を守ろうとしています。これが会社の循環のビジョン実現の根幹に位置し、企業として生み出す環境負荷を最低限に抑え、ブランドとしてポジティブな影響を最大限に生み出すことも目的としています。Move to Zeroの中には、再利用不可能なプラスティックの排除、新しい素材開発プログラムへの投資などのコミットメントも含まれており、これまで毎年平均で10億本のプラスティックボトルを資源として活用し(さらにはその製造工程で美しいフットボールキットを作るのに役立ち)、再生エネルギーを活用した物流センターを開設するなど、マラソンと短距離走を同時に走るような長短期的な取り組みをおこなっています。
ナイキ、ジョーダンブランドの各チームは、クリエーションのあらゆるレベルにおいて製品の小さいところにもこだわり、創造的なソリューションを活用しています。素材端の処理、染色技術、パターン効率や原料調達にも配慮しています。工場で生まれるスクラップを原料にした画期的なスペース ヒッピー コレクションから、昨年フォールシーズンに発売の、ナイキ ランニングの最高レベルのシューズを最もサステナブルなスニーカーに変身させたエア ズーム アルファフライ ネクスト ネイチャーまで、サステナブルな選択をした結果による進化は明らかです。ナイキではこれらのイノベーションをパワフルに拡大して効果を生み出すべく、新しい2022 Move to Zeroコレクションとしてサステナブルな素材や工法で作られたアイコニックなプロダクトを展開します。
世界中でナイキは新しいプログラムを実施したり、現行のプログラムを拡大展開し、消費者が製品をリサイクルや修理できるようにしています。すべては、2020年の10倍の製品を寄付、修理、再生するという2025年に向けての目標達成のため、さらには会社の資源循環の目標を達成するために重要な取り組みとなります。
今年2020年はナイキ グラインドが生まれて30年となります。ナイキ グラインドは工場のスクラップや使い終わったフットウエアを原料に、ナイキ製品に加えて、遊び場やランニングトラックの路面、携帯電話のケースやカーペットの裏材などにも使われています。上質なナイキ グラインドは、ナイキ以外の会社にも使用されます。例えばホームデポのジムタイルは75%以上再生ゴムが使用されており、そのうちナイキ グラインドが37%以上含まれています。ナイキの2021年度、ナイキ グラインドだけでおよそ340トンのゴムのゴミを再利用しています。このナイキ グラインドの価値が認められ、先日ナイキはホームデポの年間最優秀環境パートナー(Environmental Partner of the Year)に選ばれました。
ナイキのサプライヤーとの協力は循環実現の未来への道のりを加速させています。何十年もの協力を経て得た信頼関係をもとに、パートナー各社はリサイクルの新しい基準を取り入れたり、リサイクルの問題解決のための新鮮な手法を日夜開発しています。「私たちの協力先の生産パートナーの規模は、それ自体が大企業と言えるレベルです。」と責任ある調達と製造を担当するVPのマリン・グラハムは述べます。「素晴らしいことに、サプライヤーのビジネスのやり方を、ナイキの業務だけではなく全社的に変革してもらっています。」
2019年、ナイキは“Circularity: Guiding the Future of Design”(循環性:未来のデザインへの指針)と題したワークブックを作成するとともに、nikecirculardesign.coでデザイナーと関わり、彼らに、循環を実現する未来の創造を課題として投げかけました。このなかで、常識を打破し、ものづくりやデザインの過程の再検討をするための10の原則を示しています。「製品の作り手として、『害を抑える』ことから『良いことをする』ためにはどうしたら良いか考えなくてはいけません。」とNXTサステナブルイノベーションズ担当VPのシャナ・ハナは述べます。「新しいソリューションを探り、これまで考えなかったところで協力をし、長持ちする製品を使い終わった後まで考えたデザインで作らなくてはいけません。環境循環のビジョンを現実にするために、検討を重ね、革新を進め、資材を調達することが必要です。」このワークブックがきっかけで環境を考えた選択がなされ、世界が前進することを期待します。
これら全ての作業は、ナイキが他のアパレルやフットウエア企業と協力することにより、より大きな効果を生み出します。各企業が力を合わせれば、廃棄物の移送を制限したり再生供給減量の使用価値に疑念を持つ政府に対し、新しいリサイクルのイノベーションの実現を求める声を大きくしたり、ナイキ グラインドのような再生供給原料の価値を説明することが可能になるでしょう。さらには、コラボレーションが消費者体験の向上にもつながります。業界で合意した基準を設定すれば、アスリートはより正確な情報や、より良いサービスを得られるようになります。さらにナイキが影響の届く範囲や、大きさを拡大することができれば、世界中の遊びやスポーツをする場所を守ることにもつながります。
「私たちや業界が、みんなを前に進めてくれる素材を考え出すスピードだけが、私たちの進歩を制約しています。」とキンダーは述べます。「これまでとは異なる皮革の代替物や、コットンの代替物をどのくらい早く開発することができるのか?主要なサプライチェーンのパートナーとどのように協力したら、炭素排出とエネルギー利用を抑えた生産方法を開発、実現できるようになるか?現在、私たちの炭素排出の70%は生産原料由来です。だからこそ素材研究とイノベーションに重点をおいています。これこそがゴール達成のための最大の突破口となるからです。」
すでにナイキでは2021年度から、成功を数字で示しています。現在は、リサイクルポリエステルがナイキフットウエアに使うポリエステル全体の38%を占めており、これは2020年よりも2倍になっています。フットウエアやアパレルの生産工程で排出されたスクラップの55%は再利用されています。これは、現地のリサイクル市場や世界中のナイキ グラインドの利用顧客からの需要増加のおかげです。また、さまざまな寄附経路を通じて、2020年の倍に当たる100万以上のアイテムをナイキとして寄付しています。
循環システムや経済を作るには現実的な課題が無数に存在します。世界の流通網は複雑ですし、リサイクルと言っても完璧ではありません。その一方、消費者は循環性についての理解を深め、貢献する方法を知るため、正確な情報に簡単にアクセスすることを必要としています。
ナイキでは、真の意味での循環システム実現を進めることが、自らに課された役割や責任と考えます。一歩進むごとに、問題を解決するために必要なイノベーションを蓄え、運営・協力の能力を高めていきます。ナイキチームの創意工夫とやる気をもとに、循環する未来の実現への歩みを緩めず進んでいきます。
アスリート*: IF YOU HAVE A BODY, YOU ARE AN ATHLETE (身体さえあれば誰もがアスリートである) – 共同設立者ビル・バウワーマン
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