ナイキは常にアスリート*の声に耳を傾けることを大切にしてきました。これは、創造性や思いつきを生かして身体を動かすことを楽しんでいるあらゆる年代の子どものアスリートも含みます。
ナイキが若い世代から聞いたのは、2010年以降に生まれたアルファ世代が伝統的なスポーツの見方とそのルールや構造、また、時に伴うプレッシャーに魅力を感じていないということです。固定観念にとらわれた、性別に特化したプロダクトや体験も、今の若者には響かないのです。組織として行うスポーツに参加した子どもたちの70%が13歳までにスポーツをやめてしまうのは、おそらくこれが理由の一つと思われます。
ナイキはこの現実を踏まえ、子どもや、子どものことを考えたり世話をしたりする大人たちのためにどのようなサービスを提供するべきかを考え、進歩的、革新的かつ包摂的な新しいアプローチを生み出しました。この、身体を動かす楽しさを支援する取り組みにより、子どもたちが一生涯その楽しさを忘れないで欲しいと願っています。
ナイキの4人のリーダーがこの基本計画立案の背景と、今後ブランドを運営する中でのこの計画の重要性について、次のように語っています。
カル・ダワーズ
プレーする・遊ぶということこそがスポーツの基礎になるという観点から、ナイキはプレー・遊びというアイディアに焦点を置いています。例えば新しいダンスを考えたり友達と鬼ごっこをしたりするのも、アスリート*がスポーツを行っていると私たちは考えます。私たちの究極の目標は子どもたちが一生涯スポーツを日々の習慣とすることであり、だからこそ「スポーツをする」よりも「プレーする・遊ぶ」という枠組みで捉えることから始めるべきだと考えます。
ケイトリン・モリス
まさにその通りです。「プレー」というのはナイキにとって新しい概念ではなく、コミュニティプログラムを通じて何十年も前から子どものプレー・遊びへの参加に投資してきました。子どもたちがプレーしない、身体を動かさなければスポーツが発展しないという概念は現実的かつ切迫したものです。今日、必要とされる十分な運動をしている子どもは五人中たった一人しかいないと言います。身体をしっかりと動かすことが、家庭、学校そして人生においても子どものためになることがわかっています。また、カルも述べた通り、どんな形であっても子どもたちがプレー・遊びを楽しむ能力、自信と希望を持つための役に立ちたいと思っています。
ウイットニー・ピンフォールド
アパレルデザイン、プロダクト開発の視点から見ると、プレー・遊びにフォーカスすることで、あらゆる動きの形や自己表現を認識し、それに対応することができるようになります。一つのスポーツに特有の問題解決だけを目指すのではなく、私たちは子どもたちが、例えば広場で側転を練習したり、ガレージでローラースケートをしたり、走り幅跳びの自己記録に挑戦したり、さまざまな動きを楽しむために役に立つものを考えています。
ケヴィン・ドッドソン
そして、プレー・遊びは楽しいものです。プレー・遊びとは動きであり、自由であり、創造活動でもあります。それらが子どもの成長に与える効果は無限です。フットウェアを作る上で、プレー・遊びにフォーカスすることは、子どもが身体をたくさん動かすことによる身体的・精神的効果に集中することとなり、子どもたちの機会を大きく広げると同時に、その障壁を取り除くものとして考えられるようになります。
カル・ダワーズ
私たちが作るプロダクト、コミュニケーションから、親御さんたちに役立つ存在として活動する場合にも、私たちはまずキッズ・ファーストの意識を持っています。なにより大事なことはプレー・遊びの楽しみを次の世代の子どもたちに自らも楽しみながら伝えることです。
ケイトリン・モリス
世界中124以上のコミュニティパートナーともMade to Playのコミットメントをもとに協力していますが、これもまた子どもを主体に考えようという意思の表れでもあります。プログラムを設計するにあたっての一つのフィルタに「six isn’t 16(6歳と16歳は違う)」というのがあります。これをもとに、例えばバスケットボールのリングを低く設置して、このスポーツを始める子どもたちの体型に合わせた環境を作るなどの取り組みも行われています。とても基本的なことですが、これが子どものスポーツの経験の中では大きな違いを生み出すのです。
私がとても良いと思っているプログラムの一つに、日本の児童健全育成推進財団をサポートし実施されているJUMP-JAM(ジャンジャン)があります。このアイディアはシンプルで、子どもの遊びの体験を子ども自身に組み立ててもらおうというものです。児童館でプログラムを行う際には、子どもたちが主体的に動き、ゲームの内容も選んでもらいます。ある5年生の女の子は、ドッジボールをしないから、と約束してたくさんの仲間を誘ってきたことがある、とも話していました!何が楽しいかは子どもたちが一番よく知っていますから、その主体性を生かしています。
ウイットニー・ピンフォールド
私たちは子ども中心に問題解決に取り組み、プレー・遊びにおける障壁を取り除こうとしています。大人向けのイノベーションを単に小さくするのではなくて、子どもが何を必要としているのかに耳を傾けます。身体にも気持ち的にもどうやったらもっと快適なものができるのか、素早く準備して素早く遊んだりプレーしたりできるように、どうやったら素早く洋服を着たりシューズを履いたりできるようになるのかを考えています。
私自身、これは本当に意味のある仕事であると思っています。私は少女時代、成長過程の中で自分自身でいることにものすごく違和感を感じていました。今、女の子が女性へと成長していく中で、スポーツをもっと快適にできるソリューションを提供できていることや、自らの不安を普通に話し合える状態にあることに大きな手応えを感じています。
カル・ダワーズ
私たちの戦略の中心に、アルファ世代のアスリート*および私たちが「彼らを力づける大人たち」と呼ぶ人たちの両方に同じように配慮することを掲げています。アルファ世代のアスリート*には活動的に、そして自分らしい形で遊んだり、スポーツに参加したりして欲しいと考えます。一方、彼らを力づける大人たちも大事であると考えるのは、彼らこそが子どもたちにとっての憧れであり、人生初のスタイリストであり、コーチにもなるからです。
子どもと大人を同時に考えることで、機会がより明確に見え、私たちのサービス対象である人をより深く理解し、その人たちが必要なプロダクト、サービス、体験を必要な時に効果的に提供できるようになれると思います。例えば、パンデミックの中で保護者の方達はどうしたら子どもたちが身体を動かし活動的になれるのかを知りたがっているという声を聞きました。私たちはその問題を一緒に解決していきたいと考えます。だからこそiCoachKidsとの協力で、iCoachKids コーチング エッセンシャルズのようなデジタルツールを開発しました。これは大人が子どもの遊びやスポーツをコーチすることを支援する5段階のガイドや、子どもたちが身体を動かすことを促すYouTube動画の「プレイリスト」から構成されています。
ケイトリン・モリス
私たち自身の多くが子どもを持つ親でもありますが、遊ぶこと・プレーすることの楽しさは世代を超えて伝えられるものであることから、親御さんたちにアピールすることもとても大事だと考えます。活動的な親の家庭で育つと、子どもが活動的になる確率が6倍になります。親と子どもを切り離して考えることはできません。子どもたちの「コーチ」として親ができる最高のことの一つが、子どもを励ましたり、「あなたが遊んでる姿、プレーしている姿を見ているのが好きですよ」と伝えてあげたりすることです。私の息子はフェンシングをやっていますが、私はやりません。同じ場所に立って教えてあげられたら良いのでしょうが、それはできません。ただ、「頑張って、よくやったね!」と励ましてあげます。それこそが、子どもが喜ぶ言葉なのです。
ケヴィン・ドッドソン
プロダクトについて考えても、大人の経験を子どもたちのプロダクト作りに生かすことは重要です。一つの例が歩き始めの時期で、歩き始めの数週間に学ぶ動きがその後の人生における歩き方に大きく影響することがわかっています。私たちは、そのような発達段階のニーズに応えるプロダクトをどのように作るかに注力していますが、同時に、子どもに適したプロダクトとその理由についての知識も親御さんに提供したいと考えています。
ケヴィン・ドッドソン
私たちはあらゆる形の遊び・プレーに対応できるプロダクトづくりを目指し、全ての子どもたちにそれを活用する機会があればいいと思っています。その一つの取り組みが、さまざまな身体能力を持つ子どもたちが自分で簡単にシューズや服を着脱できるように、簡単でわかりやすく素早く開閉できるシステムを備えたナイキ フライイーズです。
ウイットニー・ピンフォールド
包摂性がまず1番の優先課題です。サイズ展開にもそれが表れています。誰にでもアクセスしてもらえる幅広いサイズ展開で、さらにデザイン面でもありのままの自分を無理なく表現できるようにさまざまな色、グラフィックや素材の選択肢を提供しています。さらに、価格面での買いやすさも考え、その点においても幅広く展開し、誰もが身体を動かし、遊べるようなプロダクトにしています。
ケイトリン・モリス
文化的な包摂性も考えています。例えば、コミュニティパートナーを通じて、女の子のためにスポーツ用ヒジャブの寄付もしています。特に女の子が男の子の2倍の確率でスポーツを途中で辞めてしまうという事実があり、その理由はそれが文化だからということもある中、ヒジャブを着用する女の子たちにとっては、このプロダクトがあるということが個人にもコミュニティにも大きな違いを生み出すでしょう。
ウイットニー・ピンフォールド
さらに、デザインする中でサステナビリティを最初のフィルターとして考えています。私たちには未来の子どもが遊び・プレーする場を守る責任があります。だからこそ、可能な限り、リサイクル素材や、廃棄する予定だった物から生まれた素材を活用しています。裁断する素材活用の効率を高めたり、端材を活用したり、特にキッズのプロダクトに関しては耐久性を高める努力をしています。ずっと使えて、さらには兄弟、いとこ、友達や次の世代にまでもお下がりとして使ってもらえる耐久性のあるプロダクトをどうやったら作れるかを考えています。
ケヴィン・ドッドソン
2歳から10歳までの三人の子どもの父親として、これは私の家庭でも大事なポイントです。また、仕事の中でも、サステナブルかつ耐久性のあるプロダクト作りを日々の対話や決断の中で考えています。私たちの理念として、使うものを減らす、より良いものを選ぶ、賢く作ることを掲げています。これにより、自然に革新的なアプローチを選ぶこととなり、機能的にもより優れたものを作ることにもなるからです。
アスリート*:IF YOU HAVE A BODY, YOU ARE AN ATHLETE(身体さえあれば誰もがアスリートである)-共同設立者ビル・バウワーマン
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https://news.nike.com/news/how-nike-aims-to-inspire-a-lifetime-of-play-for-kids
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