ナイキインク チーフ・サステナビリティ・オフィサーのノエル・キンダーが、気候変動に関わる大胆な目標とその達成のための戦略について次のように語っています。
世界的気候危機や、ナイキのような企業の果たすべき役割について考えるとき、私たちの使命および価値観に対して目を向けます。つまり、私たちがどのような存在であり、誰のために仕事をしているのか、そしてどのような未来を描きたいのかということです。
30年以上にわたり、私たちはサステナビリティの面で率先的な行動をとることに努めてきました。当初は、熱心な社員が草の根的な努力で古いスニーカーをリサイクルし、バスケットボールコートを作るなどするところから始まりました。現在では、ナイキのシューズやアパレルの75%に何らかの形でリサイクル素材が含まれており、私たちは製品の寿命を長くするための新しいビジネスモデルを模索しています。2000年代初頭には、ナイキのイノベーションの代表でもあるナイキ エアの主原料の中に有害な温室効果ガスが含まれることを発見し、ナイキ エアを根本から変える取り組みを行いました。その結果、現在ではエアはナイキで最も環境持続性に優れた素材の一つとなり、新しい世代のコンシューマーに刺激を与える新しいモデルやデザインに用いられています。
“世界的気候危機や、ナイキのような企業の果たすべき役割について考えるとき、私たちの使命および価値観に目を向けます。”
私は長年にわたって、環境持続性に対する取り組みが、法令遵守のための問題からナイキの中心的価値観へと変化していく様子を見てきました。チーフ・サステナビリティ・オフィサーに着任して以来、会社の中のあらゆるチームの地球を守るための取り組みへの情熱や熱意には大変な感銘を受けています。
しかし、問題の答えが全て見つかったわけではありません。私たちが掲げる最も大きな目標達成のためには、まだやるべきことが沢山あります。
世界中のアスリート*の未来を守るためには、温暖化による気温上昇を1.5℃以下に抑える必要があり、全ての人の努力が不可欠となります。このためには、世界中の温室効果ガス排出量をこの10年間で半減させ、2050年までに排出量ゼロを達成する必要があると科学的にも示されています。
アスリート*:“身体さえあれば誰もがアスリートである” – 共同設立者ビル・バウワーマン
だからこそナイキは、企業が二酸化炭素排出ゼロ経済への道のりを率先して進むことを求めるScience Based Targets イニシアチブ(SBTi / 科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)に参加しています。2030年までに私たちは、温室効果ガス排出を自社所有および運営拠点において65%、サプライチェーン全体で30%削減することを目標にしています。
ナイキの規模を考えると、これは壮大な目標となりますし、まだまだ多くの課題を乗り越えていく必要があります。しかし、明確な目標や戦略を立てていけば、壮大な目標とはいえ実現できないわけではないと考えます。
今後5年間で、以下の点にフォーカスを置きながら二酸化炭素排出量削減に努めていきます:
今後は、これまでの過程で得た挫折や発見を含む学びを生かしていきます。
例えば、この5年間を振り返ると、私たちは2020年度の二酸化炭素排出量削減目標を達成することができませんでした。素材廃棄量を減らし、再生可能エネルギー活用を拡大しましたが、より複雑な素材や製品デザインの採用、航空輸送や主要生産地域における電力供給状況の変化などによる問題に直面しました。また、製品一つあたりの平均的な二酸化炭素排出量といった集計指標に頼ることにより、最大の二酸化炭素排出の「ホットスポット」へのフォーカスをさらに絞る機会を逃していたのです。
そこでアプローチを変えることにしました。2025年に向けての二酸化炭素排出ターゲットに関しては、明確化と精度を高めていきます。特に、会社全体で最大の課題で最大の機会となる分野である、環境持続性のある素材、再生可能エネルギーの活用とエネルギー効率の向上にフォーカスしていきます。
例えば、ナイキの二酸化炭素排出の70%は素材に由来しているため、素材が重要であることがわかっています。そこで、私たちは環境持続性に優れた素材の研究開発を加速させ、低炭素排出の代替素材の採用を大規模に実行しています。
さらに、温室効果ガスの大半を生み出しているバリューチェーン全体にも広く目を向け、ビジネスを成長させながらも排出増加を抑える努力を進めています。そのために、サプライヤー、業界パートナーおよび競合他社とも協力し、太陽光発電や代替燃料などのソリューションへの投資を行っています。(もしも今のままの状態でビジネスを続けた場合、二酸化炭素排出量は2025年までに30%増加するという分析結果も出ています。)
また、ナイキ全体でも毎年の目標や四半期ごとの成績に対する説明責任を強化しています。今回はじめて役員報酬額を、この分野での進捗状況に紐づけています。
“実質的な変化を促すためには、気候に関する目標は机上の空論ではなく、行動につながるものでなくてはなりません。”
実質的な変化を促すため、気候に関する目標は机上の空論ではなく、行動につながるものでなくてはなりません。私たちの考え方、計画、運営、行動を変えるものであるべきです。また何より私たちがそれに対して責任を持つべきです。
だからこそ、私たちはこのように自分たちの計画を示し、今後の進捗をお伝えしていきたいと考えています。全ての会社は、何らかの影響や足跡を残します。私たちのゴールは常に、ナイキが残す足跡がより良い世界を作るために役立つものとなることです。
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https://news.nike.com/news/our-carbon-footprint-and-our-next-steps
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